どうぞお入り下さい。
ドアが開きます。


             

                         ※図書館との共催で行っています!

 
うつのみやこども賞とは
  子どもによる児童文学作品評価への道を切り拓くことを目的とし、宇都宮市立中央図書館と宇都宮子どもの本連絡会が協力し、昭和59年から実施している児童文学賞です。選定委員の子どもたちが実際に読み、子どもたち自身が協議して選んだ作品に贈る賞であることが大きな特長です。

こども賞の選定委員
宇都宮市内の小学校5・6年生で、任期1年で毎年公募によりきまります。

こども賞選定会議
選定委員は、月1回第1日曜日に図書館に集まり、年間10回選定会議を行います。
選定会議は、子どもたち自身で進めていきます。

選定の対象となる図書
・その年に出版された新刊児童図書であること。
・小学校高学年向きであること。
・日本人作家が書いた創作児童文学であること。
・外国ものや再版、重版、改訂版をのぞく。
以上の条件を満たす図書の中から毎月4冊、みんなで同じ本を読みます。

選ぶ基準
「友だちにすすめたい本」

こども賞の決定
毎月の4冊の中から、「月の本」を1冊選びます(2冊になることもあります)。
年度末(3月)の選定会議のときに、その年の「月の本」の中から、最優秀作品を1点選び「うつのみやこども賞」が決定します。

表彰式と記念講演会
次の年度のはじめに、こども賞を受賞した作者を図書館にお招きし、選定委員の子どもたちから作者へ、表彰状を贈ります。
表彰式の後に、作者による記念講演会を行います。

  

 
2023年度 第39回 うつのみやこども賞      授賞式&受賞記念講演会レポート

                                                   令和8月8日(火)

6月25日日曜日の午後、宇都宮市立中央図書館にて第39回うつのみやこども賞を受賞した『病院図書館の青と空』の著者である令丈ヒロ子先生の記念講演会が行なわれました。
 令丈先生はうつのみやこども賞選定会議の様子をHPでチェックしてくださっていたそうで、最後に残った2冊からうつのみやこども賞を決定する会議の白熱した様子を「とてもドキドキしました。最終候補に残ったもう一つの本は私も読んでとても面白いと思っていたので、最後に『病院図書館の青と空』を選んでくださったと知りとても嬉しかったです」と受賞の喜びを語ってくださいました。またご自身が子どもだったころのこと、仕事の内容から作家になるまでのこと、先生ご自身の好きな作家や本のこと等を、会場の皆さんからの質問等を交えながら時間いっぱいまでお話してくださいました。

 「何故病院図書館という場所を舞台にしようと思ったのか」という質問には「私自身が子どものころ入院していたことがあり、不安だった気持ちを大好きな本で励ますことができた。」と答えてくださった令丈先生。コロナ禍で全国に散らばる病院図書館を取材するのは大変だったそうですが、調べていく中で大小様々な形の病院図書館と出会うことができたそうです。
 また令丈先生はお菓子や食べることもお好きとのことで、有名な物語の中に登場する「お茶会」や「おいしそう、食べてみたい」と思ったお菓子を物語の中に取り入れられているそうです。『病院図書館の青と空』だけでなく『若おかみは小学生!』シリーズ等にも様々なお菓子が登場しますが、楽しそうにお話してくださる令丈先生のご様子に釣り込まれ、なるほどと思うと同時に、令丈先生の描く物語に登場するお菓子がどれも皆キラキラしておいしそうな理由がわかったような気がしました。

 講演会終了後はサイン会も行なわれました。子どもさんだけでなくその保護者の方も「大ファンです」とおっしゃる方が多く、直接令丈先生と言葉を交わされとても嬉しそうな様子が印象的でした。

   






選定委員から先生へ
表彰状と花束の贈呈がおこなわれました。






記念講演会の様子です。
 
                           令和6年3月3日(日)

選定会議後、引き続き今年のこども賞を1冊選定するための会議を行いました。1回から5回までの月の本から1冊、6回から10回までの月の本から1冊それぞれ選び、最終的に1冊の本を選びました。

前半の本には塾、受験などをテーマに子どもたちの成長を描いた『きみの鐘が鳴る』が選ばれました。
後半の本には、虐待を受けていた主人公が寄り添ってくれる人々の存在によって自分を取り戻していく『ぼくが選ぶ ぼくのいる場所』が選ばれました。

最終的にうつのみやこども賞の本を1冊選ぶにあたり、一人ひとりが選びたい本とその理由を発表しました。考えながら、時には言葉に詰まりながらも自分の言葉で推薦したい本についての感想や意見をしっかり発表する選定委員さんの姿に、皆さんの成長を感じました。

 

    


うつのみやこども賞   選定会議報告 2023年度

会議終了後は会場の後片付けや借りた本の整理を進んでやってくれる委員さんも多く、大変助かっています。★小学5、6年生の選定委員(今年度は20名)が1年以内に発行された日本の作家の本を月に4冊読んで、その中から「月の本」を選びます。年度末(3月)の選定会議のときに、その年の「月の本」の中から、最優秀作品を1点選び「うつのみやこども賞」が決定します

★小学5、6年生の選定委員(今年度は20名)が1年以内に発行された日本の作家の本を月に4冊読んで、その中から「月の本」を選びます。年度末(3月)の選定会議のときに、その年の「月の本」の中から、最優秀作品を1点選び「うつのみやこども賞」が決定します






『ぼくらは星をみつけた』  
                                         戸森しるこ (講談社)



《その他の本》
・『エール! 主人公なぼくら』  室賀理江    (文研出版)
・『かわらばん屋の娘』          森川成美    (くもん出版)
・『人間になりたかった犬』      今西乃子     (新日本出版)



 今年度最後の選定会議が3月3日に開催されました。今回は1名欠席で19名での会議となりました。
月の本には『ぼくらは星をみつけた』が選ばれました。それぞれの悲しい過去があっても前向きになれてよかった、登場人物の関係が少しずつわかっていって面白い、友達にも薦めたいなどの感想がありました。
今回は『エール! 主人公なぼくら』の主人公に自分も勇気をもらったなどの感想も多くあり、月の本に支持する委員さんたちが一定数いたので決選投票となりました。月の本には選ばれなかったものの、内容に共感できるという感想が多くありました。
『かわらばん屋の娘』は悲しいことや苦しいことがあったなかで主人公がかわらばん屋として自分がやれることに気づけたところがよかった、歴史が苦手な人にも勧めたい、などの感想がありました。
『人間になりたかった犬』は人を助けるために本当にやるべきことは何か考えさせられたなどの感想がありました。





『ぼくが選ぶ ぼくのいる場所』  
                                         吉富多美 (金の星社)



《その他の本》
・『アゲイン』              あんずゆき  (フレーベル館)
・『ふたりのラプソディ』    北ふうこ    (文研出版)
・『夏に、ネコをさがして』  西田俊也     (徳間書店)



 2月11日、第9回選定会議が行なわれました。
 今月の本に選ばれたのは『ぼくが選ぶ ぼくのいる場所』 です。主人公のつむぎは小学5年生。依存症の母が家に連れてきた男から家事をやらされ虐待を受けるようになります。母のためにと考え、耐えるつむぎでしたが、転校先の友人達との交流の中で自分のいる環境が普通のものでないことに気付いていきます。「児童虐待を減らすにはどうしたらいいのか考えた」「ずっとがまんしていてすごい」「最後はびっくりしたけどいい物語だと思った」等の意見が上がりました。
 『アゲイン』は子ども食堂が舞台の、フードロスや貧困をテーマに描かれる物語です。「生活に苦しむ人、それを助けるボランティアのことがわかった」「おにぎりを渡すシーンがよかった」との感想が聞かれました。
 『ふたりのラプソディ』の主人公、あずさは小学六年生。クラスメイトはちゃんと将来のこと考えていますが、あずさの父は売れない芸人の大坂ゴン太。「お父ちゃんを養わなあかん」と考えるとそれどころではありません。そんなとき、出て行ったお母さんと会えることになり、物語が始まります。「友達とケンカをしてもお父さんを支えてすごいと思った」「面白い。あすさは将来のことをしっかり考えていてすごい」等の感想が聞かれました。
 『夏に、ネコをさがして』は、亡くなったおばあちゃんが飼っていたネコのテンちゃんが家に帰ってこなくなり、はり紙やチラシを作って「ネコさがし」を始めた主人公桂斗が、同い年の少年蘭と出会い、二人でネコをさがすうちこの町や自分と蘭の家族についてさまざまな発見をした主人公が成長していく物語です。「主人公の成長が面白い」「読み終えて表紙の絵を見て納得した」「ネコが見つかってよかった」等の感想が上がりました。

 会議終了後は会場の後片付けや借りた本の整理を進んでやってくれる委員さんも多く、大変助かっています.。
 次回は今年10回目の選定委員会と、いよいようつのみやこども賞受賞作品の選定会議です。





『ひと箱本屋とひみつの友だち』  
                                         赤羽じゅんこ (さえら書房)



《その他の本》
・『雪の日に、ライオンを見に行く』  志津栄子      (講談社)
・『ぼくはうそをついた』            西村すぐり    (ポプラ社)
・『すき、好き、スキ。』            イノウエミホコ (文研出版)



 新年となり初めての第8回こども賞選定会議は1月7日に開かれました。
1月の本に選ばれたのは『ひと箱本屋とひみつの友だち』です。本好きの朱莉がカフェの一角にあるひと箱本屋を通じて出会ったのは車いすユーザーの理々亜、二人の心の葛藤と成長が描かれています。選定委員からは「見た目による差別は消えないけれど、同情ではなく、同じ人として生きることが大切」「自分もこの人はわかってくれないと勝手に心のバリアをしてしまう」「ひと箱本屋のオーナーっていいな」という主人公たちに寄り添うような感想が多数出ました。次点は『雪の日に、ライオンを見に行く』。話すのが苦手な唯人と転校生アズ、それぞれが抱える悩みからの成長物語で、「自分の意見をはっきり言えてすごい」「唯人とアズはお互いに成長しあっている」という意見。広島が舞台の『ぼくはうそをついた』は、「戦争は心にも傷を負わせる」「世界でおきている戦争を思うと、他人事ではないから、友だちに薦めて気持ちを共有したい」「広島に行きたい」という視野の広い感想がありました。スキの多様性について書かれている『すき、好き、スキ。』は「好きにも種類がある」「人のために行動できるのはすごい」という意見。今回は僅差での選定となり、二冊とも良くて迷っていることや選ばなかった理由などのより深い感想も聞くことが出来、有意義な時間となりました。





『金色の羽でとべ』  髙田由紀子 (小学館)


《その他の本》
・『ごはん食べにおいでよ』  小手鞠るい  (講談社)
・『沙羅の風』              松弥龍      (国土社)
・『あきらめなかった男』    小前亮     (静山社)



 12月最初の日曜日、第7回選定会議が行なわれました。市内の小学校ではインフルエンザが流行しているとのことでお休みの委員さんもいましたが、事前に書いた審査表をお家の方にお願いして届けてくれた方もいて、今回も本への熱い思いをたくさん聞くことができました。
12月の本に選ばれたのは『金色の羽でとべ』。バレーボールに打ち込む主人公は強力なライバルの登場でポジション変更を余儀なくされますが、周囲との関係の中で新しいポジションの良さに気づき成長していきます。「バレーボールのことはよく知らないが、面白く読めた」「チームワークについて考えた」「『羽根は全員についている』という言葉が心に残った」等の意見が上がりました。『金色の羽でとべ』とほぼ同じぐらい人気をあつめたのが『ごはん食べにおいでよ』でした。「家に誘ってあげるやさしさが良い」「最後で物語が全部つながったのがすごかった」との感想が聞かれました。少し複雑な親子関係の物語『沙羅の風』には「お母さんのことを名前にさん付けで呼ぶのにびっくりした」「お母さんに愛されている、と思えることがあってよかった」等の感想、鎖国時代の船頭・大黒屋光太夫の帰国までの道のりを描いた『あきらめなかった男』には「時代背景等の予備知識がなくても楽しめた」「漂流しながらも日本を目指す姿にドキドキしながら読んだ」等の感想が上がりました。





『バスを降りたら』  眞島めいり (PHP研究所)


《その他の本》
・『あした、弁当を作る。』  ひこ・田中  (講談社)
・『カムイの大地』          泉田もと    (岩崎書店)
・『ペンタとニック』        風野潮     (文研出版)



 3連休最後の日曜日、第6回選定会議が行なわれました。お休みの委員さんもいましたが、今月の本への熱い思いを書いた審査表を事前に届けてくれた方もいて、今回も沢山の感想・意見を聞くことができました。
11月の本に選ばれた『バスを降りたら』は、物語の主人公である奈鶴と律、2人それぞれの視点から描かれます。バスの中で見たお互いの姿をきっかけに気持ちが変化していき、成長していく物語です。「友人との向き合い方を考えることができた」「2人の気持ちが少しずつ似ているのがいい」「バスの中と外の気持ちの違いが面白い」「もうすぐ受験の人に読んでほしい」等の感想が挙げられました。
『あした、弁当を作る。』には「親子はどんな関係になればいいのだろう」「このお父さんの考え方は古い」「親に反抗しながらも、その気持ちを考えているのが良い」という意見。『カムイの大地』は「人々の力になりたいと行動するところが良かった」「ファンタジー的な部分もあって読みやすかった」等の意見、『ペンタとニック』は「最後にこれまでのことがいろいろ繋がったのが面白かった」「友達の夢のために練習する主人公がすごいと思った」等の感想が挙がりました。
今回は「受験」というテーマを扱った『バスを降りたら』と、親との関係を考える『あした、弁当を作る。』という、どちらも選定委員の皆さんが「共感できた」という本が票を集め、一騎打ちの形で今月の本が決定しました。しかし『カムイの大地』『ペンタとニック』を最後まで推し、自分の意見をしっかりと話してくれた委員さんもいました。自分の好きな本への情熱が伝わってきて、とても素晴らしかったです。






『だれもみえない教室で』  工藤 純子 (講談社)


《その他の本》
・『バンピー』            いとう みく  (静山社)
・『どすこい!』          森埜 こみち  (国土社)
・『和算の道をひらけ!』  鳴海 風     (あかね書房)



 10月の選定会議は、欠席の委員さんもいましたが、事前に読んだ本の得点や感想を記入した審査票も反映され、開催されました。
今回の月の本は小学校6年生の教室でおこったいじめが題材となっている『だれもみえない教室で』が選ばれました。当事者4人の気持ちで話が展開しているのに引き込まれて読みすすめられた、現実にありそうな話で今まで読んだことのない本、友達にすすめて、きちんと考えられる本など、次々と感想があげられ、圧倒的な支持を得て月の本に選ばれました。
『バンピー』は、特殊な家庭状況にある主人公に対し、大変なのに明るさがあって笑えるところがよかった、心がつながってこその家族だと思った、などの感想がありました。『どすこい!』は主人公たちが目標に向けて頑張る姿が心に残った、元力士の老人が少しずつ心を開いていってよかった、『和算の道をひらけ!』は歴史が学べて友達にすすめるのにもいいと思った、登場人物や和算に興味を持ったので調べてみたいと思った、との感想がありました。





『手で見るぼくの世界は』  樫崎 茜 (くもん出版)


《その他の本》
・『金色の約束』          松本 聰美      (国土社)
・『星屑すぴりっと』      林 けんじろう  (講談社)
・『ひみつの犬』          岩瀬 成子     (岩崎書店)



 夏休み明けの選定会議、まだ残暑が厳しい日でしたが、選定委員の皆さんは元気な姿で参加してくれました。どの本も高得点でしたが、9月の本に選ばれたのは『手で見るぼくの世界は』。主人公は視覚支援学校に通う中学一年生。晴眼者(目が見える人)からの心ない言葉で学校に通えなくなった友人に会いに行こうと白杖の練習に励む中で、苦悩しながらも成長していく青春物語です。「主人公たちがそれぞれに恐怖を乗り越えていくところが良かった。」「晴眼者と視覚障がい者について考えさせられた。」など、友達に薦めたい気持ちが伝わってくる感想がたくさん出ました。『金色の約束』は「二人で知恵を寄せて、突き進んでいって、砂金が取れて良かった。」「二人の仲が戻って嬉しかった。」という意見。『星屑すぴりっと』は「こんな友達がいたらいいな。」と共感の声。『ひみつの犬』は「友情が続いて良かった。」とこちらも主人公に気持ちを寄せる感想がありました。選定委員の皆さんの読み込む力が素晴らしくて、今回も楽しいひとときとなりました。





『きみの鐘が鳴る』   尾崎英子 (ポプラ社)


《その他の本》
・『あずきの絆』          高森美由紀 (岩崎書店)
・『ラベンダーとソプラノ』 額賀 澪   (岩崎書店)
・『空と大地に出会う夏』  濱野京子  (くもん出版)



 暑い日が続く中、第3回の選定会議が行なわれました。今回もひと月の間に4冊の本を読み切った選定委員の皆さん、それぞれの感想を話し合い、今月の本を決定しました。
8月の本に選ばれたのは『きみの鐘が鳴る』です。家庭事情や環境、性格、目指す学校も違う4人の小学生。それぞれの中学受験と真剣な思いを描いたこの作品には「受験生活がリアル」「いじめやプレッシャーに立ち向かう登場人物たちを読みながら応援していた」「いろんな6年生、いろんな大人がいると感じた」等の感想が挙げられました。同じ年頃の登場人物たちに共感した子が多かったのではないでしょうか。
『あずきの絆』は「妖怪あずき洗いに出会って日常が変わっていくのが面白い」「友だちに薦めやすい」等、『ラベンダーとソプラノ』は「ケンカを歌で止めるところがすごい」「ラベンダーのような音色という表現がよかった」等の意見、『空と大地に出会う夏』は「3人の関係が面白い」「主人公の心情の変化が分かりやすく伝わってきた」等の感想が挙がりました。
会議の終了後は、読んできた本を自主的にトラックに並べてくれたり、名札を集めて片付けてくれたりと積極的に動いてくれる選定委員の皆さん。より多くの本と出会う素敵な夏休みを過ごされますように。




『忘れもの遊園地』   久米絵美里  (アリス館)


《その他の本》
・『やくやもしおの百人一首』  久保田香里 (くもん出版)
・『クイズ研究会チームスリー』 まはら三桃 (金の星社)
・『奉還町ラプソディ』     村中季衣  (BL出版)



 7月2日、今年度2回目となる選定会議が開催されました。日曜日の午前中の暑い日でしたが、20名中19名の選定委員の参加で行われました。
月の本に選ばれたのは『忘れもの遊園地』です。忘れたい記憶が遊園地のエネルギーに変わるというこのお話、話の中でキャラクターが主人公に渡すメモを解読するのも面白い、登場人物の忘れたい記憶に共感できる、最後は元の世界に帰ることができてよかった、などの感想のもと圧倒的支持を得て選ばれました。
 一方、『やくやもしおの百人一首』もカルタが人間になってタイムスリップする設定が面白い、歴史を知らなくても楽しめるので友達に勧めたい、など高い評価がありました。『クイズ研究会チームスリー』はクイズ大会に自分も参加しているような感覚でドキドキしながら読み進んだ、『奉還町ラプソディー』はみんなつながっていないようでつながっているのが不思議な感じがした、などの感想がありました。
 改めて同じ本を読んでも感想や面白かったポイントが個々の選定委員それぞれあるのが面白いと感じました。次月以降の選定会議も皆さんの感想を聞くのが楽しみです。
 




『じいちゃんの山小屋』 佐和みずえ  (小峰書店)


《その他の本》
・『晴さんのにぎりずし』 佐川芳枝 (佼成出版社)
・『ばーちゃる』     次良丸忍 (金の星社)
・『救助犬の弟子』    堀直子  (新日本出版社)


 今年度初めてのうつのみやこども賞選定会議は、まさかの満場一致で月の本が速攻選出となりました。選ばれたのは、『じいちゃんの山小屋』。父親と大喧嘩をし、四国の偏屈な祖父の山小屋に住むことになった東京育ちの6年生、航太が自然の中で様々な経験をし、友情を育んでいくお話です。自然に囲まれて楽しそう、自然との共生を考えた、洞窟探検は勇気がある行動ですごい、しいたけパーティーが楽しそうといった主人公に共感する意見が多数出ました。
 『晴さんのにぎりずし』は、お寿司屋さんになることはいいことだと思ったという意見。死やAIについて考えるきっかけになったという『ばーちゃる』。『救助犬の弟子』は、ずっと一緒にいたい気持ちが強くて、最後はいいところが見つかってよかった、癒しの存在として犬を飼ってみたいなどの素直な感情を伝えてくれました。
 一冊の本に全員が挙手という初回からスピード感ある幕開けとなり、一年間、同じ本を読んで、どんな言葉が出て、どんな交流が生まれるのか期待が膨らみます。






うつのみやこども賞
第1回(昭和59年度) 『おばあさんのゾウ』 かつおきんや/著 永井吐無/画 リブリオ出版
第2回(昭和60年度) 『二分間の冒険』 岡田淳/著 太田大八/画 偕成社
第3回(昭和61年度) 『お江戸の百太郎』 那須正幹/著 長野ヒデ子/画 岩崎書店
第4回(昭和62年度) 『バッケの原の物語』 吉田とし/著 牧野鈴子/画 小峰書店
第5回(昭和63年度) 『ジャパニーズ・ドリーム』 蜂屋誠一/著 渡辺浩・桂子/画 偕成社
第6回(平成元年度) 『児童館の黒キリン事件』 新庄節美/著 岡本順/画 講談社
第7回(平成2年度) 『クヌギ林のザワザワ荘』 富安陽子/著 安永麻紀/画 あかね書房
第8回(平成3年度) 『テーオバルトの騎士道入門』 斉藤洋/著 おぼまこと/画 理論社
第9回(平成4年度) 『ジーク-月のしずく日のしずく-』 斉藤洋/著 小澤摩純/画 偕成社
第10回(平成5年度) 『八月の恐竜』 三田村信行/著 黒岩章人/画 ほるぷ出版
第11回(平成6年度) 『うさぎ色の季節』 緒島英二/著 長谷川智子/画 ポプラ社
第12回(平成7年度) 『塾-七転八起きの12歳-』 高山栄子/著 武田美穂/画 ポプラ社
第13回(平成8年度) 『ハートボイス-いつか翔べる日』 青木和雄/著 水野ぷり/画 
              金の星社
第14回(平成9年度) 『スズメぼうし』 たつみや章/著 広瀬弦/画 あかね書房
第15回(平成10年度) 『ぼっこ』 富安陽子/著 瓜南直子/画 偕成社
第16回(平成11年度) 『用寛さん本伝 開眼の巻』 杉山亮/著 藤本ともひこ/画 
              フレーベル館
第17回(平成12年度) 『いつも心に好奇心』 はやみねかおる・松原秀行/著 
              村田四郎・梶山直美/画 講談社
第18回(平成13年度) 『はじまりの樹の物語』 岡田淳/著 岡田淳/画 理論社
第19回(平成14年度) 『リューンノールの庭』 松本祐子/著 佐竹美保/画 小峰書店
第20回(平成15年度) 『ぼくと未来屋の夏』 はやみねかおる/著 長野ともこ/画 講談社
第21回(平成16年度) 『黄金蝶ひとり』 太田忠司/著 網中いづ子/画 講談社
第22回(平成17年度) 『ラインの虜囚』 田中芳樹/著 鶴田謙二/画 講談社
第23回(平成18年度) 『銃とチョコレート』 乙一/著 平田秀一/画 講談社
第24回(平成19年度) 『マキの廃墟伝説』 山中恒/著 スカイエマ/画 理論社
第25回(平成20年度) 『くらげや雑貨店』 長谷川光太/著 椿しょう/画 ポプラ社
第26回(平成21年度) 『恐竜がくれた夏休み』 はやみねかおる/著 武本糸会/画 講談社
第27回(平成22年度) 『ヤマタノオロチ復活ー蓮の奥出雲戦記ー』 廣田衣世/著 照世/画 
              岩崎書店
第28回(平成23年度) 『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』 佐藤まどか/著 講談社
第29回(平成24年度) 『劇団6年2組』 吉野万理子/著 宮尾和孝/画 学研教育出版
第30回(平成25年度) 『狛犬の佐助 迷子の巻』 伊藤遊/著 岡本順/画 ポプラ社
第31回(平成26年度) 『ロード キャンピングカーは北に』 山口理/著 佐藤真紀子/画 
              文研出版
第32回(平成27年度) 『ひみつの校庭』 吉野万理子/作 宮尾和孝/絵 学研プラス
第33回(平成28年度) 『へなちょこ探偵24じ』 齊藤飛鳥/作 佐竹美保/絵 童心社
第34回(平成29年度) 『狐霊の檻(これいのおり)』 廣嶋玲子/作 マタジロウ/絵 小峰書店
第35回(平成30年度) 『奇譚ルーム』 はやみねかおる/著 しきみ/絵 朝日新聞出版
第36回(令和元年)  『羊の告解』 いとうみく/作 ゆの/絵 静山社
第37回(令和2年度) 『ぼくたちの緑の星』 小手毬るい/作 片山若子/絵 童心社
第38回(令和3年度) 『嘘吹きネットワーク』 /久米絵美里/著  PHP研究所
   
記念講演会の様子は
第39回(令和4年度) 『病院図書館の青と空』 令丈ヒロ子/著 講談社
第40回(令和5年度) 『きみの鐘が鳴る』 尾崎英子著 ポプラ社