REPORT
連続講座 スライドで楽しむ物語の世界



  

 2016年 第2回 『妖精ディックのたたかい』
          
 K・M・ブリッグス/作 山内玲子訳/岩波書店
                  
                    

「読書会」報告 
(2016年11月14日)
2月13日、『妖精ディックのたたかい』の読書会が行われました。
妖精というと、日本人の私たちは羽が生えた小さな妖精を想像しがちですが、ディックはぼろぼろの服を着た、家つき妖精。家の住人がいなくなったときは家を守り、新しい住人が来たら住人たちのために奮闘する健気な妖精です。ディックの他にも墓守妖精や守護妖精など仲間の妖精たちも私たち多くの想像とは異なった存在です。どうやらイギリスでの妖精は日本人にとってのざしきわらしや八百万の神々のような存在のようです。
読書会では妖精について掘り下げたり、イギリスの歴史的なことも話題に上ったり、楽しみながら勉強にもなったひとときできた。
物語を読んでいくうちにイギリスの宗教や歴史的背景などもわかることができましたが、逆に宗教や歴史的背景をもっとわかっていたら、よりディックの世界が楽しめたと思うという声もありました。読むたびに感じ方が変わり、2度3度と読み返すことでより楽しめる本であるとの声もあり、スライドの会までに読み返そうと思った参加者も多かったのではないでしょうか。
今回の読書会で感想を共有し、妖精についての知識が深められたことでディックの世界が拡がり、22日に行われるスライドの会がより一層楽しみになったことと思います。

【皆さんの感想】
❀とても面白く読むことができ、たくさんの子供たちに手にとってほしい物語だと思った。
❀タイトルから、戦いがあるのかと思って読み進めていたが、そういった内容のお話ではなく、先入観を もって読み始めないほうがいいと思った。
❀こびとのくつやで、こびとが服とくつをもらったら家を出ていった理由がわかった。
❀ディックはとても人間くさく、親しみを持つことができた。
❀ディックみたいな妖精がうちにいてくれたらいいと思った。
❀家柄や財産に重きを置くイギリスの価値観もわかって面白かった。
❀物語の登場人物で、妖精を感じることができる人たちは、自然を尊敬できたり、昔ながらの慣習を大切にできている人に思える。だからこそ妖精の存在を感じることができたのだと思った。
❀読書会を機にあらためてこの本を読み直し、楽しかった。読む機会が与えられてありがたい。
❀本を読むのはいいなあ、本って楽しいなあとつくづく思った。
                                    (本嶋美貴)

セントメアリー教会(墓守妖精がいると言われる)     ウィードフォード村のディックの家


・セントメアリー教会にあるフェティプレイス家 先祖のお墓 6体 領主 身分はバロンの下のバロネット
チュ―ダー王朝の頃



・スチュアート王朝の頃  服装が違う













 2016年 第2回 『妖精ディックのたたかい』
          
 K・M・ブリッグス/作 山内玲子訳/岩波書店

                  
 

「スライドの会」報告 (2016年11月30)日
コッツウォルド地方は農村地域で、英国でも最も風光明媚なところ。丘陵あり、谷あり、ゆるやかに流れる川あり、中世以来の伝統的な教会やマナーハウスが散在しているところと、お話の舞台の説明から池田先生のお話が始まりました。
また15世紀からこの地方は毛織物産業が盛んで、財をなした商人や領主が立派な館や教会を建てていたそうで、まさにホバディー・ディックの守ってきたウィドフォードのお屋敷。
17世紀半ば、王党派と清教徒との戦争により旧家の没落と市民階級の台頭という社会地図の塗りかえがあった激動の時代に、この地方に息づいている家つき妖精、魔女、伝説を信じている人たち。
先生のスライドはフットパスを歩きながら見る、さんざしの花やいちいの木、謎めいたローライトの巨石塚、ハニーワインカラーのライムストーンの建物、昔から変わっていないであろう風景、それを守っているイギリスの素晴らしさに驚くばかりでした。(髙橋亜紀子)



   フルブルック村 エッグローリングができる坂の多い村      
ウィンドラッシュ川


  
 マーサがさらわれたシプトン塚                     絞首台 (首を下げたそうだ・・・     


     ストーンサークル  
                 魔女の森   

   

  

   

         
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