REPORT
連続講座 スライドで楽しむ物語の世界



  

 2016年 第1回 『ともしびをかかげて』
          
 ローズマリ・サトクリフ/作 猪熊洋子訳/岩波少年文庫
                  
                    

「読書会」報告 
(2016年11月14日)
今年度最初の読書会は、サトクリフの『ともしびをかかげて』でした。
一通り感想を言い合った後、イギリスの民族や歴史のことや、日本との歴史からくる感覚の違いのこと、サトクリフの他の作品のことなども話題に上がり、
とても楽しく素敵な時間を持つことが出来ました。また、初めて読書会にお出かけになった方、読みかけの方、既に何度かお読みになった方されぞれ、この読書会でのお気持ちを持ち帰り改めて本を開いてみようとお思いになり、そして、スライドの会の日がよりいっそう楽しみなったのではないかと思います。
そんな読書会でした。

【皆さんの感想】
❀イギリスの歴史について、このお話で初めて知った。
❀イギリスの歴史の深さを感じた。
❀幼い子供が絵本の中に引き込まれていく感覚、本を開いた時にその世界に「戻る」感覚を大人にも与えてくれる。
❀主人公の自分に正直、公明、誠実、で、起きてくる出来事を直視して進んでいく姿が、心に残った。
❀人生の明暗が民族の移り変わりを舞台に書かれている。わかりずらさ、心情、重さ、歴史など、とても読みずらいところもあるいっほうで、面白い!読み進みたい!という気持ちで読み進んでしまった。
❀結末もすっきりとしていていい終わり方でよかった。(ここで結末を少し教えて頂き、読み終えていない方達から「えぇー。」という声が上る。皆さん直ぐにでも読み進めたいきもちになった)
❀全体を通して、冷たさ、人間味、美しい自然の表現が感じられ、これらは、アーサー王につながるものを感じた。
❀修道士との出会いが印象的だった。お話しの中の運命や、出会いの大きさが感じられる場面でした。
❀主人公以外の登場人物も魅力的で、特に女性の心の動きが、お話しの中で光って感じられた。
                                     (石塚英子)


2016年 第1回 『ともしびをかかげて』
          
 ローズマリ・サトクリフ/作 猪熊洋子訳/岩波少年文庫
                  
 

「スライドの会」報告 (2016年11月30)日
「ともしびをかかげて」は、ローマン・ブリテン3部作の最後の作品であるということで、今回の池田正孝先生によるスライドの会では、まず3つの作品の流れと主人公たちの繋がりを解説していただきました。
 3部作「第九軍団のワシ」「銀の枝」「ともしびをかかげて」の間には400年程の時が流れており、主人公たちの血は物語とイルカの指輪と共に継がれていきます。「第九軍団のワシ」の主人公であるマーカスが褒美として元老院から与えられた農場が、実はアクイラの実家であるローマン・ヴィラなのだということには、サトクリフの想像力の羽ばたきに驚くと同時に、深い歴史のロマンも感じられました。
 6~7メートルの高さがあるルトビエの砦、ぺベンジイ城、ローマン・ヴィラの床の美しいモザイク、アンプロシウスが立て籠もった山スノウドン…たくさんの貴重な写真とお話が、正直なところ「ちょっととっつきにくい」と感じていた物語に奥行きを与えてくれ、また登場人物たちに魂を吹き込んでくれたようで、「もう一度読んでみなくちゃ!」という気持ちになりました。スライドによる「聖地巡礼」は、遥かな時間と場所を飛び越え、私たちを「ともしび」の世界にしっかりと浸らせてくれました。
スライド会終了後には先生と昼食をご一緒させていただき、物語とその作者が成長した環境についてとても興味深い裏話を伺うことも。物語の世界の広さと楽しさを改めて感じた一日となりました。
            (佐藤麻矢)


   ルトピエの砦跡               ドーバーのローマ時代の灯台    


ローマンヴィラ(アクイラの実家           チチェスターの教会

     

ローマ時代のガレー船レリ-フ    カーナボーンの城(北ウェールズ)

    ドロブリエの砦跡                ソールズベリーの教会


  

   

         
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