REPORT
連続講座 スライドで楽しむ物語の世界



  

 2017年 第1回 『ピーター・ラビット』シリーズ
          
 ビアトリクス・ポター/作 石井桃子訳/福音館書店
                  
                    

「読書会」報告 
(2017年5月15日)
5月15日(月)、「ピーターラビット」シリーズ(ビアトリクス・ポター/福音館書店)の読書会をしました。18人の参加でした。
 キャラクターとしては誰でも知っているピーターラビットですが、全冊読んだ人はあまりいませんでした。でも、みなさんその魅力を感じていて、様々な感想が聞かれました。

【皆さんの感想】
❀一気に全冊読む機会があり、とびとびに読んでいた時より楽しかった。特に『ピーターラビットのてがみの本』を読んだ時は、夜中に一人で笑ってしまった。
❀絵は可愛いが、実は生き死にをかけている、というところが魅力だと思う。
❀公園のベンチにでも座って、読んでみたい本。
❀去年子どもが年長の時、喜んで親子で一緒に読んだ。子どもは「悪い」系(悪い登場人物が出てくる)が好きで、今も楽しんでいる最中。
❀グッズにはまって、20代の頃集めた。絵のデザインが素晴らしい。
❀生協で原書(24のお話が収められているもの)を買っていた。古い英語が多くて難しいが、わかるとなるほどと思って楽しい。ピーターとベンジャミンとの性格の違いも原書の言い回しだとよくわかる。
❀イギリスの絵本や歴史などを学ぶにつれ、この本の魅力もより理解が深まってきた。
❀動物を通して人間社会を風刺しているのかな、と思う。
❀登場する動物がそれぞれの本質を失っていなくて、動物の擬人化のお手本のような物語だと思う。
❀りすのナトキンのお話などを、『ピーターラビットのてがみの本』と合わせて読むと、さらに楽しめる.
。『グロースターの仕立て屋』は他の物語は自然の描写が多い中で、町の中のお話でタフタの生地、陶器の質感など立体感もあって、絵が素晴らしい。石井桃子さんの訳も翻訳の妙を感じる。
❀『ピーターラビットのてがみの本』にはマグレガーさんの奥さんの絵も出てきて楽しい。
初期の版の奥さんはずっと若くてきれいな絵のもあって、比べるとおもしろい。
                                    


(上左)イーストウッド荘少年への絵手紙としてここでピーターラビットは生まれた

(上右)ローンズリー牧師(ピーターラビットの出版を勧めた)のケルト風の墓


・ティギーおばさんのおはなしに出てくる滝         ・ティギーおばさんの家の入り口   黒鉛を掘り出した跡


 2017年 第2回 『ピーター・ラビット』シリーズ
          
 ビアトリクス・ポター/作 石井桃子訳/福音館書店

                  
 

「スライドの会」報告 (2017年5月31)日

「ピーターラビットシリーズ」は作者ビアトリクス・ポターの避暑生活の中から作られました。避暑地の風景が挿絵の中にえがかれています。今回の池田先生のスライドの会では作者、ビアトリクス・ポターについても詳しく説明していただきました。 ビアトリクスは大変な資産家の家に生まれ、学校には行かず勉強は家庭教師が付き、交友関係も厳しく制限されて、孤独な子供時代を送ったようです。ビアトリクスは一家で夏の間を避暑地で過ごし、彼女はこの避暑生活をとても楽しみにしていました。 5才から15才まではスコットランド、ダンケル町のダンガイス荘で、夏をすごしました。ここでビアトリクスは動植物の観察や収集に夢中になりました。
 その後1882年から湖水地方に避暑地を移し、レイカースというお城のような屋敷に滞在します。ここでビアトリクスが生涯取り組んだ自然保護活動に大きな影響を与えた、ローンズリー牧師と出逢います。1892年スコットランドに戻し、バーナムのヒースパーク荘での滞在ではキノコ研究家のナチュラリスト、マッキントッシュと知り合い、キノコ、粘菌類の研究に打ち込みます。そして1893年再びダンケルドにノーストウッド荘を借りて、ここでビアトリクスは元家庭教師の息子のノエル君に宛てて「ピーターラビットの絵手紙」を送りました。それが後に書き改めて「ピーターラビットのお話」になります。1902年「ピーターラビットのおはなし」はフレデリック・ウォーン社から出版され、初版8000部はたちまち売れきれる人気ぶりでした。
 1905年に湖水地方のニアソーリーに農場を購入します。「ピーターラビットシリーズ」は大半がこの湖水地方が舞台となっています。ビアトリクスの作品は人間の生活を風刺したお話ばかりです。創作はありません。挿絵も背景、登場人物は空想では書いていません。おびただしい数のスケッチが土台となっています。
 スライドでは避暑生活ですごした別荘や、「ピーターラビットシリーズ」の中の風景とそっくりな写真を沢山みせていただきました。今にもピーターラビットやベンヂャミンバニー、子猫のトムが出てきそうでわくわくしました。150年前の風景を今も同じに見れるのはナショナルトラストがひきついで残されているからだそうです。ビアトリクス・ポターの功績は大きいです。イギリス人の気風なんていうのもあるのかななどとも感じました。
 スライドの会終了後の昼食会で池田先生が、物語の舞台を旅したい人のためのストロングアイテムを準備中だと、ここだけの話で教えてくださいました。そのストロングアイテムがあれば気分だけでもピーターラビットのいる湖水地方の旅ができそうです!楽しい講演をありがとうございました。



(上左)リスのナトキンの中のブラウンじいさんの島 セント・ハーバース島
(上右)ポターが住んだヒルトップ農場




  
 パイが二つあったはなし                             同じ場所     

                 

   

  

   

         
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