REPORT
連続講座 スライドで楽しむ物語の世界



  

 2019年 第2回 『ニルスのふしぎな旅』
          
 セルマ・ラ―ゲルレーヴ/作 
                  
                    

「読書会」報告 
(2019年9月9日)
今回の読書会には16人の方が参加してくださいました。

【皆さんの感想】
・ガンの隊長がメスだったのが印象的だった。
・科学、伝承、ファンタジーとさまざま網羅されていてエピソード自体もおもしろかった。
・お話が面白いので、本は分厚かったがいつの間にか全部読んでいた。
・地図をたどりながら楽しんで読めた。
・感動した。様々なテーマがあったが、その中で「死」が沢山出てきて、作者は子供が死について理解できると信頼していたのだなあと感じた。
・ニルスの目線で見る、川の景色が目にうかんだ。
・小一の子供と一緒に楽しんだ。小人が現れたところから引き込まれた。
・スウェーデンの地理が生き生きと描かれていて、この本で学ぶスウェーデンの子供たちは幸せだなあと思った。


まだ読んでないという方からも
・いろんな読み方があるんだなと感じ、読むのがたのしみになった。
・皆さんの感想を聞いていて自分が読んで楽しんだような感覚になった。
・早く読みたいと思った。
紹介したのは一部で、他にも熱い感想をたくさんいただきました。活発な楽しい読書会となりました 
               (みはらおはなしの会議 薄井淳子)
                                  


上左)ニルスの実家
(上右)ニルスとモルテン

(上左)看板
(上右)記念館


 2019年 第2回 『ニルスのふしぎな旅』
          
 セルマ・ラ―ゲルレーヴ/作

                  
 

「スライドの会」報告 (2019年9月18日)

池田先生によるスライドの会では、始めにラーゲルレーヴの生涯をたどり、そして作品の生まれた背景についてお話ししていただきました。

ラーゲルレーヴは、モールバッカの富農で、旧家の娘として生まれました。幼い頃から文学好きで作家への夢を抱き、教師になってからも小説を書き続けていましたが、それが出版され注目を集めると、いよいよ作家の道を歩み始めます。『ニルスのふしぎな旅』を発表後、1909年にはスウェーデン人として、また女性として初めてのノーベル文学賞を受賞しました。

新しい教育のもと、小学校で使用するスウェーデンの地理や自然を学ぶための本を作ってほしいと依頼を受けたラーゲルレーヴは、構想が決まると、様々な文献を読み各地に足を運んで調査することに3年を費やしたそうです。こうして『ニルスのふしぎな旅』は書かれました。

このお話では、小人にされてしまった男の子が、ガチョウの背中に乗り、ガンと共にスウェーデンを南端から北端へ、そしてまたもとの生まれ故郷に帰ってくるのですが、降りたつ土地土地の自然の様子、動物、人々の暮らし、そこに伝わる伝承や昔話などに触れ、様々なことに出くわす度に成長し、自分以外のものへの思いやりや優しさが芽生えていきます。

池田先生は、ニルスの全編で伝えているものは「生きとし生きるものへのいたわり」であり、「自然と人間の共生」が最大のテーマであるとおっしゃっていました。

さて、スライドの1枚目に映っていたのは、ラーゲルレーヴの生まれ故郷であるモールバッカの近く、スンネという駅に行くための黄色と緑の鮮やかなディーゼルカーでした。
私もそれに乗って旅に出発するような気持ちになりました。車窓からの湖、木々、家々(木を腐りにくくするためファールーンの銅のカスが塗ってある赤っぽい家)、本当にのどかで美しい光景です。モールバッカには彼女の銅像がたくさんあり、生家は記念館になっていました。近くの教会にはラーゲルレーヴがいつも座っていたという席がありました。

ニルスの生まれた西ヴェンメンヘーイのスライドには、ニルスの家とされる古い農家やニルスの学校、教会などが映されていたのですが、ニルスの家は焼失し残念ながら現在はないのだそうです。

池田先生が巡られた、クマネズミとドブネズミの戦いの舞台となったグリミンゲ城や、フクロウのフラッメアが角笛を見つけたルンドの大聖堂、カール11世の銅像や木造の人形ローセンボムのいる軍港の街カールスクローナ。そして、昔はとても栄えていたという街ゴッドランド島のヴィスヴイ、お話の舞台となったたくさんのスライドを見せていただきました。どの場所からも物語の世界が思い起こされ、現実とお話の中を行き来しながら楽しみました。

スライドの会を終え、もう一度ニルスとスウェーデンの空の旅を楽しみたい気持ちです。

                                (柿の木文庫 毛塚葉子)



(上)ラーゲルレーヴの書斎
(下左)ラーゲルレーヴ像
(下右)本物のガチョウ

  

   

         
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