REPORT
連続講座 スライドで楽しむ物語の世界



  

 2019年 第1回 『完訳アンデルセン童話集』
          
 ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 大畑末吉訳/岩波文庫
                  
                    

「読書会」報告 
(2019年5月29日)
今回の読書会は13名で「アンデルセン童話」を読んだ感想や幼い頃感じた事など、自由な意見交換をしました。

【皆さんの感想】
・小さい頃は絵本で接していたので気が付かなかったが、改めて読んでみると自然描写がとてもきれいだった。
・冒険ものもあるし(「空とぶトランク」)、悲しい終わり方のもある。
・結末がハッピーエンドになるものが少ないように思う。
・悲観的、厳しいものが多い。
・宗教色が強い。
・アンデルセンと遠藤周作が似ている。
・「火打ち箱」は楽しい。
・「野の白鳥」は、言葉が流れるように出てくるのに、絵本は絵があるためその文章に気がつかなかった。
・「即興詩人」森鷗外/訳が、歯切れのよい文になっている。
・「赤い靴」は、とても教会との繋がりが強いように感じる
・創作であるので、時代背景や生い立ちが関係しているのではないか?
・キリスト教の原罪は傲慢・自惚れ・見栄っ張り、それがアンデルセンの話に影響を及ぼしているのでは?
・アンデルセンの葛藤と罪の意識が見える。


皆さんが感じた事・疑問に思ったことなどの答えが、次回のスライドの会で聞くことができたらと思います。
(石井子どもと本の会 髙橋亜紀子)


(上左)アンデルセンの生家(オーデンセ)     (上右)オーデンセ市役所前の銅像                                  

(上左)アンデルセン公園内の銅像
(上右)アンデルセンの母親が働いていた洗濯場

(上左)アンデルセンの「スズの兵隊」の銅像
(上右)アンデルセンの「空飛ぶトランク」の銅像


 2019年 第1回 完訳アンデルセン童話集』
          
ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 大畑末吉訳/岩波文庫

                  
 

「スライドの会」報告 (2019年9月19日)

池田先生から、アンデルセンの生い立ちの話し・旅行や滞在した場所などのスライドを紹介頂いた。

アンデルセンは、デンマーク・フューン島オーデンセ貧民学校に通っていたが、あまり勉強をしない子どもだった。コペンハーゲンに移ったあと、母と共に貧困生活をおくる。17歳の時に牧師様との出会いからたくさんの本を読むようになり、色々な方々との出会い・援助があり「私の人生は1ページの美しいメルヘンのようである」と言えるような、詩人・物理学者・最後は国王までのパトロン(援助者)に恵まれた。
 苦しい生活を送っていた為、時が過ぎても貴族やお金持ちにすり寄る体質は抜けなかった。しかし貧困生活からヨーロッパの身分階級・上層部の豊かな生活まで体験しているアンデルセンは、身分のそれに関わらず“貧富があっても人間には変わりがない”と人生を後天的に見ていた。裸になれば人は皆変わらない→「はだかの王様」につながっている。
 
【童 話】 → 生涯160編ものたくさんの童話を書いている。
・アンデルセンはたくさんの国を旅行していたので題材はとても多い
・人生は下層から上層まで経験していたから
・人生の悲しみも喜びも経験していたから
・感情の幅の広さ(たくさんの人間関係があったから)
 池田先生より童話について一言
「人形姫」→ 流れるように美しい文
「おやゆび姫」→おやゆび姫から見た世界、ディティールの美しさは子どもが大喜び
「みにくいあひるのこ」→階級にとらわれずヒューマンに溢れている。階級など関係ないと思っている。
「小さいイーダの花」→創作童話の世界で初めて、石・植物・動物に人間と同じように命を吹き込んで書いている。
           「たのしい川べ」(ケネス・グレーアム)、「不思議の国のアリス」(ルイス・キャロル)、「くまのプーさん」(A・A・ミルン)などに影響を与えた。

 スライドで、アンデルセンが宿泊していた各国の王様・貴族の館など素敵な場所が紹介された。
オーデンセ・アンデルセン公園、聖クヌート教会、アンデルセンの銅像、はだかの王様の像など美しい景色や物語に出てくる銅像、建物をたくさん見ることができ楽しい時間だった。
(石井子どもと本の会 髙橋亜紀子)


(上左)アンデルセン記念館
(上右)にんぎょ姫(コペンハーゲン)モデルはバレリーナ


(上左)もっとも恩人のヨナス・コナス邸
(上右)アンデルセンのお墓

(上左)はだかの王さまの銅像
(上右)アンデルセンの切り絵


マッチ売りの少女の銅像


  

   

         
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